会長のつぶやき
第五回
2016-04-18
若い人たちの、いじめ、自殺、殺人、薬物乱用、窃盗、公金横領、虐待、詐欺、誘拐監禁、賭博と実に多種多様にわたる出来事に、ただただ呆れるばかりで心が痛みます。
現代社会の一つの特徴は、科学が証明する事実の方により重きが置かれ、人間の価値が数字で表されるということがあります。いつの頃か私たちは、合理性の追求の中で「家庭」「家族」「生活」という、人間を育てる基本の場を見失ってしまったように思えます。
人という生き物は、生活の中で「拝む」という習慣を身につけていただき、人間としての感覚を育てられ、成長していく存在です。「拝む」ということの対象は「ほとけ様」で、すべての命を生み出し、育て、支え続ける<はたらき>そのもののことです。その<はたらき>に出会うことによって、人間として”してはならないこと”、”しなければならないこと”を的確に判断する感覚を身につけさせていただいてきたのです。そういう「拝む場」を取り戻すことが非常に大事なことだと思います。
現代人は、ものごとを理屈で考え、対処しようとする傾向がありますが、実は本当に大事なことは、理屈ではなく理屈を超えたところにあるということをもう一度思い返してみなければならないと強く感じています。